頭脳派集団のシンデレラストーリー「ラスベガスをぶっつぶせ」(作中手法の解説おまけ付き)

あらすじ:MITに通う青年は進学のための費用に悩んでいたある日、知らない学生から誘いを受ける。それは数学の教授が率いる少数の生徒のチームで、トランプのブラックジャックを研究していた。数学の才能を武器に彼らはラスベガスのカジノで荒稼ぎを始めるが、大きすぎる収入はチームの内外での人間関係に次第に支障をきたしていく...登場人物
- ベン MITの学生。医科大に進みたいが母子家庭で学費に悩んでいる。
- ジル チームの女子学生。ベンは彼女に憧れている。
- ミッキー 数学教授

ギャンブルは運が必要だが、トランプのブラックジャックは工夫次第で勝率を非常に大きくできるというところから始まる。「カウント」という違法ではないけどギリギリチートという技法を使う...のだが、この詳しい方法が映画の説明ではサラッと流しすぎていてわからん!

仕方ないのでまとめました。まずはブラックジャックの基本ルール。

1. 自分の手札の合計点を、親の手札より大きく、かつ21を超えないようにする
2. 親の手札の1枚だけは伏せてある。他の札や子の手札はすべて開いている。
3. 子は手札を引くごとに、もう一枚引くかやめるか選べる。引いて21を超えたらバスト(ドボン)で負け。
4. 親は自分の点が17以上になるまでカードを引き続けないといけない。
5. 子が全員引くのをやめると親は伏せていたカードを開き、勝敗が決まる。

そして、勝敗が決まった後、手札は場から除けられるが山札はそのまま次のゲームに使われる。
→場に出た手札を覚え続けると、ゲームが進むごとに場にまだ出ていないカードつまり山札の中身がほぼ推測できる。

ところでカードの点数は、数字は札通り、絵札は10。(Aは1にも11にもできる。)
そうすると10点のカードが多く残っていると、(4)カードを引き続けるという制約がある親がバストする確率が上がって不利になり、逆に低い点が残っていると子が不利になる。これは統計的に解析されている、らしい。
→高得点と低得点のカードがどれくらい出たかを覚えておけば、山札がどちらに有利かが判別できる。

とはいえすべてのカードを覚えておくのは無理なので、10点以上なら-1、2〜6点なら+1、それ以外は無視とルールを決めて頭の中のカウンタを増減させる。
作中、補習部屋が2回目に出てきた時にミッキーがダメ出ししながら早口で説明しているのがこの部分。

あとは有利そうなら積極的に賭ける。そうでないならテーブルを変える。

要は有利不利な山札の組み合わせになる条件が解析されているので、その傾向を把握した上で、いまの山札がどの状況に近いかを見つけ出す技。単純な足し算引き算とはいえ、ゲームの進行に合わせて超高速で計算できる能力が最低限必要なので、MITの学生のような奴に向いているのかもしれない。日本だとそろばんマスターか。

さて。
本編の流れとしては、どの登場人物も変わり身が早いというかポリシーが一環としてないというか...いまいち感情移入できない。

ベンは「友達と進めているロボットコンテストがあるからなぁ...」とチームに加わることを渋ったのに、すぐに参加を決めてしまう。そして言い訳がましく「お金のためじゃない」という。
ミッキーは散々「運任せのギャンブルではない」とビジネスライクに進めることを押すのに、いざ落伍者が出ると非常に感情的な対応をする。
ジルも、ボストンではちょっといい雰囲気になると慌てて「私たちはビジネスパートナーよ」と念押しするのに、ラスベガスではなんだろう、大学にいるときの私とは違うのよということなんだろうか。

途中の障害は胸が悪くなるような展開もある。成功ものにありがちな、持ち上げた分は落としておくよという流れだけれど落差が激しすぎる。

一方でわかりやすいのはベンの友人、ギークでナードなメガネx2。口が悪くてすぐカッとなるデブと、物静かなインド系というある意味ステレオタイプな組み合わせ。
デブの方はどこかで見た顔だと思ったら「ピクセル」で引きこもりこじらせて陰謀論者になったジョシュ・ギャッドだった。こういう役ばっかりか!

終始スカッとするというわけではなく、とはいえ笑って見ていられるレベルの不幸でもなく。まあ楽しいけど扱いが難しい感じだ。

ついでに、ミッキー役のケビン・スペイシーが失脚した後で見るとまた違った味わいがあるよ!


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