雰囲気たっぷりの東欧バディムービー「グランド・ブダペスト・ホテル」

あらすじ:ヨーロッパのホテルに勤めるコンシェルジュとベルボーイ。ホテルの顧客でコンシェルジュの乗客でもあったマダムが自邸で殺されたとの連絡を受けて葬式に駆けつけたところ、コンシェルジュに遺産を相続する権利があるという。遺産横取りに腹を立てた遺族から犯人扱いされてしまった彼は、事態の解決のためにヨーロッパのあちこちを旅して回ることになる。登場人物:
・ゼロ - エキゾチックな顔立ちの少年。ホテルでボーイとして働く。
・グスタヴ・H - コンシェルジュ。自分なりの美意識があり紳士かつプレイボーイ(おっさん)

ゼロは故郷を追われた移民でホテルでの下働きを続けていて、ようやく行き着いたグランド・ブラペスト・ホテルで、グスタヴに教えられるがままにベルボーイとして成長していく。
彼は必要な時には会話もするし(まれに辛辣な一言も)、自発的に動くこともできるけれど、あくまで脇に控えていて、ガンガン進むおっさんの後ろをちょこちょこと着いていく。

むしろこの作品ではおっさんの方がメイン。宿泊客のマダムといちゃつくところから始まり、陰謀に巻き込まれれば大いに憤り、とにかく怒ったり嘆いたり笑ったりする。あと演説が長い。実に人生が楽しそうだ。
そんな動たるおっさんと静たるボーイが巻き込まれた事件の解決を図るためにヨーロッパのあちこちを旅していく。といっても名探偵のような気負いからではなく、主に自分たちの保身のため。

人が死んだり殺されかけたりするが、「ギャーッ」「ワーッ殺人だーっ」といったテンションで、まったく悲惨な雰囲気はない。むしろ合間に挟まれる、物語の外側の方がうっすらと暗く陰鬱で、現実としても辛い。
冒頭、雪景色の中で少女が本を読み、本の中では作家が若い頃に出会った老人を思い起こし、その老人が話してくれた思い出話というのは...という構造で始まる。初めこそ、この構造に意味があるのか?と思っていたが、この対比でボーイ時代が生き生きとして見えてくる。

歴史あるホテル、山の上の修道院、雪山のスキーコース...趣のあるヨーロッパの風景も見ていて楽しい。

爆発とか炎上があるアクションというわけでもなく、ぞくぞくするようなサスペンスではない。ミステリーだけど面倒な推理はほとんどない。でも人々は元気よく動くし、ちょっと陰謀っぽいところもある。
そして書き割りの中をチョコチョコと動くような演出は芝居か古いアニメのような印象。
なんとなく冒険活劇という単語が似合うなと思った。


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