人工知能のテストから始まるサスペンス「エクス・マキナ」

あらすじ:検索エンジン最大手のブルーブック社で働くケイレブは、ある日社内の抽選に当選し社長の別荘へ招待される。別荘にいたのは社長のネイサンと彼が開発した女性型アンドロイドのエヴァだった。ケイレブはネイサンに頼まれ、エヴァの人工知能が完璧かどうか会話によるテストを始めるが、エヴァは停電で記録カメラがオフになった合間を盗み「ネイサンは嘘つき」と警告する。

人工知能が人と交流を深めるほっこりSF映画…と思って見始めるとなかなかのスリラーっぷりに戦慄する。まず社長の別荘へは専用ヘリで送迎される。別荘は孤島か陸地の先端にあるのか、海が時折見えるほどの大自然の上空を飛行するところから始まる。(門をくぐってから邸宅までが長いというわかりやすい金持ち感)

ところが別荘についたときから閉塞感が漂う。
別荘は居室が地下にあるので窓がないという設定だが、窓が映らないようなシーンでも妙に狭苦しさがある。照明の加減なのか…
近未来的な建物に閉じ込められるということで真っ先にCUBEを思い出す。

スリラーが本格的に始まるきっかけとなるエヴァの警告、「ネイサンは嘘つき」。それ以上は話せないまま停電から復旧してしまうが、そうなるとすべてが怪しい。

エヴァはところどころ皮膚がなく、いかにも機械らしい部位が見えている。ネイサンによれば、人工知能が完璧すぎて外観まで人間にしてしまうとただの人間じゃないのかと疑われるからあえてそうしているとのこと。しかしこれがフェイク?(機械に見せかけてやはり人間)
ネイサンは冒頭から健康的に運動したり、ベロベロになるまで酒を飲んだりとしているが、本当はこいつがロボットじゃないか?
メイドのキョーコはやたらと奴隷のような扱いを受けていて、なにかひと悶着あるんじゃないか?
他にも、各部屋の入室は便利な生体キー(指紋や顔認証)じゃなくて紛失盗難もありうるカードキーなのはなぜ?ありがちなところで、実は主人公がロボットでしたってオチ?と疑い出すとキリがない。

並行して、エヴァとの会話テストではケイレブのほうが揺さぶられる。人工知能の感情や感覚は、本当に感じたことなのか、そう思っているふりをしているのか…

ところでエヴァは「完璧な」人工知能を持っていて理論上は人間と違いがない。ところが動きがどこか動物っぽくてかわいらしい。
エヴァは別荘の一角に閉じ込められていて、テストの際のケイレブとの会話はガラス越し。ケイレブは椅子に座っているのにエヴァは床にぺたりと座り込んでいたり、ふわっと揺れるような不思議な動きで歩き回ったり、まるで動物園のトラかライオンのよう。
そして表情。理解できないことが起きたとき、ちょっと下がり眉のまま小首をかしげて口元だけかすかに微笑む。これがかわいい。
透明パーツが採用されていて、(わざとらしく)胴体が透けているのもすごい。ちなみにアカデミー賞視覚効果賞だそうです。

ただ、スリラー・サスペンス好きとしては、人じゃないもの(機械の他にも異星人とかサイコパスとか)の異質さ・不気味さ成分が足りないのが寂しい。まあ、人間と同質かどうかテストしているという設定上、盛り込みづらいのは仕方ない。


最後に、結末についてのコメント。(ネタバレです)










最後の最後で意外な展開が待っていて、これが後味悪かった!
個人的には後味が悪い話も好きなのでこれはこれでいいんですが、特に悪いことをしていない人がバッドエンドを迎えるタイプなので苦手な人はいるだろうなと思います。
あと刃物による流血が何回かあるけれど、妙に生々しくて貧血になるかと思った。


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